メル・ギブソンとダニー・グローヴァ―主演の映画「リーサル・ウェポン」。
その名作バディムービーが、舞台を現代のテレビドラマに移して生まれ変わったのが、ドラマ版「リーサル・ウェポン」です。
破天荒な刑事マーティン・リッグスを演じるのは、コメディ俳優としても知られるデイモン・ウェイアンズ。
映画のイメージをどう受け継ぎ、どう裏切るのか―――そんな視点で観ると、このドラマはぐっと面白くなります。
もちろん、映画を知らなくても大丈夫。
主演のデイモン・ウェイアンズとクレイ・クロフォードが生み出すバディ感は、シリアスとユーモアのバランスが絶妙。一話から引き込まれる完成度です。
どんなドラマ?
【一話完結・犯罪捜査・コメディ・完結】
本国放送開始:2016年
シーズン数:3(完結)
舞台:アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロサンゼルス市
事件現場の視覚的描写:弱い
感情表現が強めの演出:夫婦の挨拶以外はたまに程度
大人が視聴することを前提とした演出:マータフ夫婦が仲良しなので直前の描写は多め
心臓に持病を抱えるロサンゼルス市警の刑事ロジャー・マータフは、心臓の負担にならぬよう穏便に刑事生活を送るのが目標。
手術後の彼の相棒として配属されたのはマーティン・リッグス。訳ありの彼は、ロジャーとは正反対のスリルと刺激を好むタイプだった。
無茶ばかりするリッグスにマータフは振り回されたり、時にはなだめたりしながら事件を解決していく。
見どころ解説
デイモン・ウェイアンズが演じる刑事は、ただの「相棒もの」の枠に収まりません。
ドラマ「リーサル・ウェポン」は、ハードな事件とバディの掛け合いの中に、彼ならではのユーモアと人間味が滲む作品です。
映画版とは違うアプローチで描かれる相棒関係や、家族を失った男の再生が、このドラマの大きな魅力。
コメディ俳優としてのデイモン・ウェイアンズしか知らない人ほど、いい意味で裏切られるはずです。
リッグスとマータフの関係はもちろんですが、それより私が見てもらいたいポイントがもう一つ。それは、マータフの妻、トリッシュ・マータフです。
なぜなら今までの「貞淑で我慢強い刑事の妻像」を全く覆してるんです。
弁護士として成功し、問題が起きた際には、動揺する夫を支えながら冷静に、そして適格に状況を整理し、事態を収める問題解決力を持つ。
かといって夫を抑えつけるような女性でもないのです。夫と子どもたちを愛し、家族を大切にするとても愛情深い女性。
ロジャーとマーティンの掛け合いだけでなく、トリッシュの活躍もこのドラマの見どころです。
主要キャスト紹介・キャラ解説
ロジャー・マータフ/デイモン・ウェイアンズ
妻と3人の子供を心から愛するお父さん。
お年頃の娘には散々ウザがられながらもめげずに絡もうとする。
渾身のジョークは決まってスベる。
自分の父親だとちょっとツラいけど、友達のお父さんでたまに会うくらいなら仲良くなれそう。
トリッシュ・マータフ/キーシャ・シャープ
敏感弁護士。治安の良い地域の豪邸に住んでいるのはトリッシュのおかげ。
でも恩着せがましい事は言わない、しない。だって努力して自分がなりたい職業に就いてやりたい仕事をしている結果、稼ぎが良いというだけだから。そもそも、収入によって家族間で優劣をつけるなんてしない精神的に成熟した人。
マーティン・リッグス/クレイン・クロフォード
妻子を事故で亡くし、どうしようもない悲しみと喪失感に取り憑かれて生きている。
大切な人を失う経験はなくとも、誰しも心にどうにもならない感情を抱えて苦しんだ事があるもの。破天荒なマーティンが時々見せる苦しみは、大なり小なり、みなさんにもきっと身に覚えがあって、共感できるはず。
海軍の特殊部隊出身。いつもヘラヘラして何も考えていないように見えるが、ここ一番で役に立つ。
「能ある鷹は爪を隠す」的で爽快。
ウェスリー・コール/ケヴィン・ラーム
ロジャーの元相棒で現在上司。「リーサル・ウェポン」における校長先生的存在。
同性愛者を公表し、パートナーとの関係もオープン。パーソナルな部分を隠さずに生きている人物が、公的機関の役職に就ている世界観が個人的に好きです。
アメリカでも稀なことかもしれませんし、ドラマ内の綺麗事かもしれませんが、性的嗜好に限らず自分である事を偽らなくていい社会になって欲しいなと思います。
総評
この「リーサル・ウェポン」は、コメディ要素が多い痛快刑事ドラマです。
でも、少し深く解説するならば、ある1人の傷付いた人間が周りの愛情に助けられながら少しずつ立ち直っていくお話。
題材としてはけっこうベビーな部分もあります。しかし、ロジャーやトリッシュの明るさで、そのシリアスさを大幅にカバーして重苦しさを感じさせないのです。
なので、基本的には元気爽快な気分になりたい時におすすめですが、じんわり心あたたかくなるドラマでもあります。


